アゲハチョウのなかま


アゲハチョウ春型
アゲハチョウ春型

アゲハチョウ(揚羽蝶)

特徴 ナミアゲハともいい、ごく一般的なアゲハチョウです。季節型があり、春型は夏型より一回り小さく翅の模様がはっきりとしています。明るい場所を飛ぶことを好み、驚く(捕獲に失敗する)と空高く逃げていきます。成虫のエサは花の蜜です。幼虫のエサはミカン科の、ミカン、カラタチ、サンショウなどです。



キアゲハ(黄揚羽)

特徴 基本的に黄色いアゲハチョウです。

大きさ、模様等がナミアゲハと似ています。ナミアゲハのように白いものもいますが、翅の根元がアゲハチョウと違い黒いので区別できます。

生態 4月~10月頃に見られます。平野部から山地の明るい場所を好み、都市部や農地など幅広く分布しています。成虫のエサは花の蜜です。幼虫のエサはパセリ、ニンジン、ミツバなどのセリ科の植物です。越冬は蛹でします。

捕獲 なかなか難しいです。脅かす(捕獲に失敗する)と空高くに逃げて行くことが多く、飛行速度も人が走る速さでは追いつけません。吸蜜中、産卵中などキアゲハが夢中になっている時が捕獲のチャンスです。畑などニンジン、パセリを栽培しているような場所で出会えると思います。



アオスジアゲハ
アオスジアゲハ

アオスジアゲハ(青条揚羽)

特徴 翅は黒色の下地に青緑色の帯が入った蝶です。この青緑色の部分は透けています。非常に美しい蝶だと私は思っています。体が太く飛ぶのがアゲハチョウより速く俊敏。空中で捕まえるのはたいへん難しいので、吸蜜中などの止まったときが捕獲のチャンスです。



ウスバシロチョウ
ウスバシロチョウ

ウスバシロチョウ(薄羽白蝶)

(ウスバアゲハ)      

特徴 シロチョウと名前がついていますが、アゲハチョウの仲間に分類されます。黒い翅脈で、翅がうっすらと透けています。アゲハチョウとモンシロチョウの中間ぐらいの大きさ、飛ぶスピードはモンシロチョウより遅いぐらいで、ひらひらと飛び捕獲が簡単です。成虫、幼虫共に体内に毒を溜めています。



ナガサキアゲハ♂
ナガサキアゲハ♂
ナガサキアゲハ♀
ナガサキアゲハ♀

ナガサキアゲハ(長崎揚羽)

特徴 黒いアゲハの中で、普通は後翅に尾状突起がなく丸い翅をしているので区別できます(メスに尾状突起があるものもいるそうです)。日本の蝶の中では大型種で、木陰や木々の切れ間をほぼ決まったコースで飛びます。捕獲に失敗しても、木陰を逃げて行くことが多く、逃げる方向が予想できるので先回りすることもできます。全力で走れば追いつく場合もあります。



モンキアゲハ(紋黄揚羽)

特徴 翅は全体的に黒く、後翅に白い斑紋の入った黒いアゲハです。また、後翅外縁には赤い三日月型の斑紋が並びます。メスはオスに比べこの斑紋が発達します。夏型、春型があり、夏型は春型に比べ大型になります。

生態 5~9月頃に見られます。平野から低山地の森や林などの薄暗い木陰などを好みます。成虫のエサは花の蜜。幼虫のエサはミカン科の植物、ミカン、カラスザンショウなどです。大型の蝶で、木陰や木々の合間を決まったコース(蝶道といいます)で飛ぶ性質があります。越冬は蛹でします。

捕獲 飛ぶ速度は人が走るより若干速いですが、木陰を逃げて行くので、逃げる方向が予想でき、先回りすることもできます。また、蝶道を見極めれば待ち伏せすることができます。森、林などの木陰で出会えると思います。

成虫の飼育 エサは砂糖水、蜂蜜を薄めた(10倍ぐらいに)で代用ができます。大型の蝶なのでエサやり自体は簡単です。ただ、飼育スペースは大きくなければ翅がボロボロになっていきます。



クロアゲハ(黒揚羽)

特徴 翅の表面は黒く、後翅の外縁にオレンジ色(赤色)の斑紋があります。オスの後翅には、前翅と重なる辺りに白い帯(性標)があります。他の黒いアゲハに比べ尾状突起が比較的に短いです。

生態 4月~10月頃に見られます。平野などの森林、農耕地などの木陰を好みます。成虫はエサは花の蜜です。幼虫はカラスザンショウ、カラタチ、ユズなどのミカン科の植物です。越冬は蛹でします。クロアゲハも蝶道をつくります。

捕獲 飛ぶ速度は人が走るより若干速い程度です。木陰を逃げることが多いので先回りするか、蝶道を見極めて待ち伏せが有効です。

成虫の飼育 エサは砂糖水、蜂蜜を薄めたもので代用できます。大型の蝶なのでエサやりは難しくはないです。ただ、飼育スペースがかなり広くないと翅がボロボロになります。ペットショップに売っている最も大きな飼育ケースでも小さいと思います。



カラスアゲハ(烏揚羽)

特徴 翅の下地は黒色でも、青色や緑色などにキラキラ輝いて非常に美しい蝶です。後翅の外縁にはオレンジ色(赤色)の斑紋が並びます。春型と夏型があり、夏型の方が大きい傾向にあります。ミヤマカラスアゲハに比べると翅全体の光沢が若干ありません。また、カラスアゲハは前翅裏の白い帯が翅の先端にいくほど広がっていますが、ミヤマカラスアゲハはこの帯の太さが先端にいくほど細くなっています。

生態 4~9月頃に見られます。山地や渓流など比較的に自然が豊かな場所にいます。成虫のエサは花の蜜です。地面に下りて吸水もします。幼虫のエサはカラスザンショウ、カラタチなどのミカン科の植物です。越冬は蛹でします。

捕獲 木陰や木々の合間を蝶道をつくって飛びます。私が思うに、木陰を好む蝶が、木々の間を飛ぶとき、木が密なところは飛びにくいので、疎の場所を選ぶと、谷の合間や沢といった地形の場所が限られてくるので、それが蝶道となるように思います。その蝶道で待ち伏せるのも捕獲の1つの方法です。また、吸蜜中、吸水中も大チャンスです。

成虫の飼育 大型の蝶なので、飼育していると翅がボロボロになってしまいます。出来るだけ大きなスペースで飼うか、飼育温度を下げて飼うと動かなくなるので翅がボロボロになりにくいです。エサは砂糖水、蜂蜜を10倍程度に薄めたもので代用できます。エサやりは口吻(蝶のストロー)が大きいので難しくはありません。



ミヤマカラスアゲハ(深山烏揚羽)

特徴 翅の下地は黒色ですが、青色、緑色、紫色などキラキラと美しく光る蝶です。カラスアゲハより更に彩りが豊かで、日本で最も美しい蝶として挙げる方も多いと思います。雌雄差は、前翅表側に性標と呼ばれる黒く長い毛がオスだけに生えています。メスはオスに比べ彩りが地味です。春型と夏型があり、夏型は春型に比べ大型になります。彩りは春型の方が美しい傾向にあります。オスの春型が最も美しいことになります。カラスアゲハによく似ていますが、前翅の裏は、カラスアゲハより白い帯状の線が細く、後翅の裏側は白い帯状の線(夏型はこの帯が不明瞭、稀にない個体がいます。)があるので区別できます。

生態 春型は4~5月頃に見られます。奥深い山地や渓流など自然が豊かな場所にいます。成虫のエサは花の蜜です。地面に下りて吸水もします。幼虫のエサはカラスザンショウ、キハダ、ハマセンダンなどのミカン科の植物です。越冬は蛹でします。

捕獲 木陰や木々の合間、渓流沿いを蝶道をつくって飛びます。その蝶道を予測して待ち伏せする。ツツジ、アザミなどの花に吸蜜に来るのを待ち伏せするなどの方法があります。



 ジャコウアゲハ(麝香揚羽)

特徴 クロアゲハやモンキアゲハの翅の形より長くとがった印象の翅をしています。尾状突起が長いのも特徴の1つです。オスは黒色をしているのに対し、メスは明るい褐色(私見では暗闇に薄日が差したような色)をしています。翅の形状はオナガアゲハに似ていますが、体の色に注目すると区別できます。オナガアゲハは黒く、ジャコウアゲハは黒と赤の毒々しい色をしています。

生態 河川沿いなどで見かけます。幼虫の食草であるウマノスズクサが河川沿いに生えていることが多いためです。他の黒いアゲハと違い、明るい場所を飛びます。毒を持つ蝶の余裕からか?飛行速度は緩やかです。ウマノスズクサには毒があり、幼虫の頃からそれを蓄積し、成虫になっても毒を持っています。卵の表面にも毒があるので、寄生されにくいようです。



 オナガアゲハ(尾長揚羽)

特徴 前翅、後翅共に細長く、尾状突起が発達している黒いアゲハ蝶。後翅外縁には三日月状のオレンジ色の斑紋が並びます。オスにのみ前翅と後翅の重なる辺りに白い帯があり、それが性標になります。オスの写真矢印は表側の性標が若干見えています(表側にはハッキリとした白い帯があります。良い写真が撮れていませんでした)。翅の形状はジャコウアゲハに擬態しているので、良く似ています。蝶の体を見ると、オナガアゲハは黒く、ジャコウアゲハは赤と黒なので見分けられます。

生態 4月~9月頃見られます。山地の渓流沿いなどに見られ、木陰など薄暗い場所を好む蝶です。成虫のエサは花の蜜。幼虫のエサはコクサギ、カラスザンショウなどです。地面に下りて吸水もするようです。越冬は蛹でします。

捕獲 飛ぶ速さはアゲハに比べ緩やかで、木陰などに沿って飛ぶことが多く、逃げる方向が予想出来るので、先回りすることも出来ます。また、蝶道をつくるので、待ち伏せすることも出来ます。よく訪れる花(ツツジなど)に吸蜜に来るところを待ち伏せするのも一つの方法です。


     外来種

  ホソオチョウ(細尾蝶)

特徴 大きさはアゲハチョウより小さく、オナガアゲハよりも尾状突起が細く長いのが特徴です。雄は白く、雌は黒色が目立ちます。また、雌は翅の黒色の部分以外が黄色味がかっていることが多いです。写真のメスは、美しい尾状突起が欠けてしまっているので残念です。

生態 5~9月頃見られます。雄は昼頃に低い場所をフワフワとゆっくり飛びます。雌はほとんど飛びません。河川沿いなどに生えているウマノスズクサに産卵します。日本には韓国から持ち込まれたと言われています。

捕獲 飛ぶ速度が非常に遅く、脅かしてもあまり速く飛ばないので簡単に捕まえることが出来ます。ウマノスズクサは河川沿いに生えていることが多く、ウマノスズクサの群生地があれば出会える可能性があります。