ミヤマクワガタ

ミヤマクワガタ オス
ミヤマクワガタ オス

ミヤマクワガタ

特徴 体長オス40~80㎜メス25~45㎜程度。オスの体色は赤褐色から茶褐色で、体表に微毛が生えているため黄色味を帯びて見えます。ミヤマクワガタの特徴は頭部の耳状突起にあります。大型の個体程発達しており、小型のオスではほとんどなくなってしまいます。オスは大顎は3種類に分類され、基本型、フジ型、エゾ型に分けられます。メスの体色は黒褐色から茶褐色で、オスに比べ黒みがかっています。また、体に艶もあります。オス、メス共に脚の腿節(脚の根元の方)が黄土色をしています。メスの体型は他の種類に比べ縦長でスリムであるため、腿節の色とで区別が容易です。

生態 7月頃~9月頃に見られます(岐阜県南部では)。自然の多く残る標高が高く涼しい環境を好みますが、低山地にも生息しています。活発に動き昼間でも行動する姿を見かけます。性質は凶暴であるのでメスでも殺してしまう可能性があります。成虫のエサはクヌギ、コナラ、ヤナギなどの広葉樹の樹液です。よく飛翔するので灯火にも飛来します。木を蹴って採取する時に飛んで逃げてしまうこともよくあります。成虫は活動を開始したその年に死んでしまいます。幼虫のエサは発酵の良く進んだ朽ちた広葉樹。

飼育 成虫の飼育は温度管理の必要があり暑さに弱いです。また、産卵も25℃以下という研究結果があるようで、産卵は難度が高いクワガタです。

ミヤマクワガタ 小型のオス
ミヤマクワガタ 小型のオス

 ミヤマクワガタは小型のオスになると、上の写真のように耳状突起がほとんどなくなってしまいます。ノコギリクワガタのオスに似てきますが、腿節(脚の根元の方)が黄土色なので容易に区別できます。

 オスは気性が荒いので、ペアリング(交配)の際には、ハンドペアリング(手でオスを持ってメスの上に乗せ交尾を促す)かオスの大顎を縛って同居させる方法を採ることをお勧めします。また、採取個体であれば交尾済みが多いので、そのまま産卵することもできます。

ミヤマクワガタ メス表
ミヤマクワガタ メス表

 上の写真は、産卵後のミヤマクワガタのメスです。木を削ったり、潜ったりしたため、フ節(カギ状の脚の先端)がとれ、体色もハゲてしまって痛々しいです。

ミヤマクワガタ メス裏
ミヤマクワガタ メス裏

 ミヤマクワガタのメスは、他の種類のメスに比べて縦に長くスリムで、前胸部から頭部が出ていて目立ちます。上の写真でも腿節(脚の根元の方)が黄土色なのが判ると思います。

 成虫の飼育は温度管理が必要です。できれば28℃以下で飼育できれば長く生きると思います。30℃以上では死んでしまうことがよくあります。産卵を視野に入れた飼育なら25℃以下が望ましいと思います。

 自宅(岐阜県岐阜市)の近所でミヤマクワガタが捕れる所は低山地です。深山(ミヤマ)クワガタという名の通り、自然の豊かな場所です。ただ、産卵が25℃以下でということなので、近い将来、温暖化の影響で捕れなくなるのではと心配しています。