ルリタテハ(瑠璃立羽)
特徴 卵は、緑色の長丸です。縦にスジが入っています。孵化後、1齢から体の周りに毛のようなトゲが生えています。成長するにしたがってトゲは硬くなっていきます。5齢まで成長すると頑丈になり、手で触ると刺さります。ただ、チクチクするという刺さり方です。見た目は毒を持っているように見えますが、毒はありません。5齢では、体の色がオレンジ色と黒色になります。
生態 幼虫のエサはサルトリイバラ、ホトトギスなどユリ科の植物です。サルトリイバラは、森林の縁の光がある程度差し込むような環境を好みます。越冬は成虫でします。
幼虫の飼育 サルトリイバラは、新鮮な状態を長く維持することが出来ます。幼虫の飼育自体は難しくはありません。
写真のカップに刺しているのはタカサゴユリ(野山に自生しているものを採って来ました)です。産卵させるために刺してありますが、これではダメでした。どうも、ユリ科なら何でもいいという訳ではないようです。2021年はダンボール飼育ケース(縦56㎝横46㎝高さ100㎝)で飼育し、サルトリイバラも入手できたので産卵もしてくれました。
幼虫の食草サルトリイバラ
ルリタテハの幼虫の食草は、サルトリイバラ、ホトトギスなどです。私が初めてサルトリイバラ探した時には見つけられませんでした。ただ、一度特徴を掴むと直ぐ近くにも多く生えていることを知りました。
サルトリイバラは登山道の脇、山の麓付近、山近くの雑木林など、私の周り(岐阜県岐阜市)では珍しいものではありませんでした。サルトリイバラが生えている場所は、森の中でも光のあまり入ってこない暗い木陰ではなく、森や雑木林などの縁で、ある程度の光が差し込むような環境を好むようです(森の中でも、木々の合間からある程度の光が差し込むような場所なら生えています)。サルトリイバラを探す時には、森の奥に入るのではなく、森の縁に沿って木陰を探すと見つかり易いと思います。
ルリタテハが産卵したら
卵は狭いプラスチックケースなどに保存しておくと孵った時に分かりやすいです。それに、生まれた時餌に辿り着けずに死ぬ確率が少なくなります。しかし、卵を管理する際サランラップなどで密封してはいけません。空気穴を開けたとしてもダメです。私の経験では、ルリタテハとクロコノマチョウの卵は死んでしまいました。どうやら通気性が良くないとダメなようです(もしくは十分な酸素が必要なのかもしれません)。卵が孵ってからはラッブをしても大丈夫です。
卵は、最初は緑色をしていますが、1週間ほどすると、上のように黒く色づきます。すると、もうすぐ孵ります。孵りそうになったら卵の周りに新鮮な葉を入れてあげましょう。生まれたばかりの幼虫は弱いので、すぐにエサを食べられるようにしておきましょう。
一番死亡率が高いのは1齢の時です。主に餌に辿り着けなかったり、餌の葉が硬すぎるなどが原因です。1,2齢はヨーグルトカップに10匹までが飼育量の目安です。また、幾つかのケースで飼育することによって感染症になったりしても全滅を避けることが出来ます。餌は若い葉を与えましょう。餌は毎日取り替え(場合によっては1日に何度か。餌が新鮮な状態のものを与えましょう)、糞は毎日捨てましょう(病気になるリスクを下げます)。
ここまで成長したら少し大きいケースで飼うことをお勧めします。だんだん食欲旺盛になり、1日に1度の餌補給では足らなくなってきます。餌の状態と量に、常に気を付けて下さい。
5齢幼虫になると食事量がとても多くなります。そのため、ケース一杯に詰め込むよううな感じで餌を与えて下さい。5齢幼虫のトゲは、案外硬く、触ると刺さります。ちょっと痛いですが毒はありません。見た目は毒がありそうですが・・・。
前蛹になる前は、一所から動かなくなります。そして、上の写真のような状態になるともうすぐ蛹になります。触ってしまったりすると落下してしまうことがあるのでそっとしておきましょう。
上の写真2枚のようにルリタテハの蛹は黒くなるともうすぐ羽化します。蛹になってから羽化までは、およそ10日前後かかると思います。
野生で捕まえてきた個体は、かなりの確率で寄生バチなどに寄生されているときがあります。それが嫌な方は成虫から卵を産ませることをお勧めします。私は寄生された幼虫を助けることが出来ませんが、手術をして寄生バエなどを取り除く方法があるようです。下にリンクを作っておきます。