ラミーカミキリの飼育、育て方

ラミーカミキリ
ラミーカミキリ

ラミーカミキリ(外来種)

分布 本州、四国、九州

特徴 体長10~20㎜程度。身体は黒と白みがかった緑色、または黄緑色。色合いが鮮やかで美しい。前胸背(前胸部の背中側)に黒い2つの特徴的な斑点があり、目のように見えるため、パンダカミキリ、ドクロカミキリなどとも呼ぶ人がいます。触角は体長と同程度の長さ。中国大陸からラミーという植物に付いて入って来たと言われています。

生態 成虫は5月~8月頃に見られます。カラムシ、ヤブマオ、ムクゲなどを食草にします。昼行性で食草の葉の裏側などによくいます。食痕を頼りに探すといいでしょう。捕まりそうになると擬死して落下するので注意。幼虫は食草の茎の中に入り込み成長します。越冬は幼虫でします。

飼育 飼育自体は簡単です。ただ、食草のカラムシなどが手に入れるのが難しいと思います。

ラミーカミキリの飼育
ラミーカミキリの飼育

ラミーカミキリの飼育環境

 ラミーカミキリは小型のカミキリなので、プラスチックの飼育ケース小(160㎜×100㎜×高さ120㎜)の物で十分です。そこに、止まる為の木や草を入れてください。できればカラムシの茎や葉がいいと思いますが、休んだり、隠れたりするためのものなので代用は何でもOKです。一日に一回、霧吹きで飼育ケース内を湿り気を帯びる程度に濡らしてあげてください。飼育ケースの置き場所は、直射日光の当たらないところにしてください。直射日光が当たると温度も上がりますし、水分もどんどん無くなっていくので、死んでしまう原因になります。ラミーカミキリは葉の裏側にいることがよくあることから、木陰をイメージした少し暗いところがいいと思います。また、大人しいカミキリのようなので、他の小型のカミキリとなら一緒に飼ってもあまりケンカをしないようです。

ラミーカミキリのエサ

 ラミーカミキリの飼育で困るのはエサの確保だと思います。カラムシはどこでもすぐに見つけられる植物ではありません。私の近所(岐阜県岐阜市付近)では4月下旬頃にはカラムシが生え始めます。野山の道端(平地部)や河川、用水路の脇などにはよくありますが、公園などではない場合が多いと思います。私も最初の頃は、闇雲に探しましたが見つけられませんでした。カラムシの群生しているところを見つけれるかが重要になります。カラムシは他の雑草に比べて背が高いので、河川の脇の草むらや雑草が生えた空き地などに目をやると目立つので見つけ易いと思います。また、その葉の裏が白いのが特徴で、そのような植物は少ないので見分ける一つの目安になります。そのカラムシを茎ごと採ってきて”ナナフシ飼育編”のようにカップ刺して飼育ケースに入れると、後は勝手に食べてくれます。代用エサはスイカを食べますが、まだスイカだけで与えたことがなくカラムシも一緒に入れているので、スイカのみで飼育できるのかは今後の課題です。

 

カラムシ
カラムシ

 カラムシに似た葉っぱの形をした雑草は多いです。私はよく間違えて、他の雑草を採ってきていました(アオカラムシを採ってきていたようです。ただ、食べるかどうかは判りません。ラミーカミキリに与えず棄てていました)。カラムシはイラクサ科で、イラクサ科の葉っぱはよく似ています。間違えてもイラクサ科の植物なら食べてくれることはあると思います。(実際、ラミーカミキリが食べてくれたことはあります)

 ある時、息子がカラムシの葉の裏は白いことを教えてくれました。カラムシに似た葉っぱのものは多いですが、裏が白いものを探せば間違えることはなくなると思います。

カラムシの葉の形
カラムシの葉の形
カラムシの葉の裏は白い
カラムシの葉の裏は白い

 カラムシを探す時、見つからなくても、似た葉っぱのものをキープしておきラミーカミキリに与えてみると、案外食べてくれることはあるでしょう。

 ちなみに、カラムシとヤブマオを比べると、ラミーカミキリはカラムシの方が好きなようです。また、ラミーカミキリは葉っぱより、葉っぱの根元の茎の部分が好物のようです。カラムシを見つけた時、カラムシの葉の根元の茎がかじられて、葉が垂れ下がり白い葉の裏側が見えるような状態であったら、ラミーカミキリがいる可能性が高いです。

 

葉っぱの保存の仕方
葉っぱの保存の仕方

 採ってきたカラムシは上の図のように、タッパーなどに入れ、それを冷蔵庫の野菜室で保存すると数日間は新鮮な状態を保てます。また、下記のリンクはカラムシを長持ちさせる方法が書かれています。実際にはエノキの枝で実験していますが、カラムシも全く同じ方法でできます。

 飼育ケースの中にカラムシを茎ごと入れただけ(生け花のように挿さず)でも飼えます。これでもラミーカミキリは問題なく飼育出来ています。葉っぱだけを入れても食べてくれるので、冷蔵庫で保存しておけば、数日に1度カラムシを採りに行けばいいことになります。この方法だと毎日カラムシの葉を入れなければなりませんが、小さな飼育ケースで飼育出来るという利点があります。ただ、真夏は室温上昇のために葉っぱから水分が早く抜けてしまうため、ラミーカミキリが水分不足になる恐れがあります。私は以前このために死なせてしまったことがあります。昆虫は水を横に置いておいても、自分で摂ってくれることはまずありません。水分補給はエサからと考えた方がいいです。私は、室温が高くなる時期には、エサを出来るだけ新鮮な状態で与えるように心掛けています。

小さな飼育ケースでの飼育
小さな飼育ケースでの飼育

ラミーカミキリの飼育記録

2019/6/23

岐阜県山県市でラミーカミキリを捕まえる。一緒にアカタテハ幼虫も2匹捕れた。同じカラムシをエサにできるので、同じケージで飼育を始める。

2019/6/25

新しいカラムシを採ってきて入れたら、ラミーもアカタテハ幼虫も美味しそうに食べた。

2019/6/28

新しいカラムシを入れる。ラミーは元気。アカタテハ幼虫はケージの天井に糸を貼りぶら下がっている。もうすぐサナギになりそう。

2019/6/29

アカタテハさなぎになる。ラミーは相変わらず元気。

2019/7/1

 アカタテハもう1匹がさなぎに。ラミーは他の飼育ケースに移す。

2019/7/12

ラミーは相変わらず元気。驚いたことにラミーがスイカにつかまって汁を飲んでいるようだった。スイカでもいいのだろうか?

2019/7/14

ラミーは引っ越してクロコガネ、シロテンハナムグリ達の飼育ケースへ、コガネ達にいじめられないか、ちょっと心配。でも、他の虫も飼育を始めたので飼育ケースが足らない。

2019/7/16

ラミーは元気。やはりスイカを食べるようだ。今日もスイカにくっついていた。

2019/7/24

飼育している虫が増えて、しょうがないので、ラミー、クロコガネ、ハナムグリ、クワガタを同じ飼育ケースで飼うことにした。ラミーは今日もスイカを食べている。

2019/7/28

ラミーの姿が見当たらない。よく探してみると、ラミーが真っ二つになっていた。小さいクワガタだから大丈夫だと思っていたけど、クワガタにやられてしまった。

 

 

現在の課題として、ラミーカミキリの飼育には、カラムシが欠かせませんが、他に何か代用できるものがないか探しています。まず、スイカはいいようです。

2020/5/14

 近所の古墳でラミーカミキリを捕まえました。息子はダンボール飼育ケースで飼育するようですが、飼育ケースが広いのでエサを食べてくれるか心配しています。今日は、エサのカラムシが手に入らないので、スイカにしたが食べようとしない。大丈夫だろうか?

5/15

 父、会社帰りにカラムシを採って帰る。カラムシを園芸用オアシスに刺しておきました。

5/16

 去年の飼育の時は、飼育ケース小に葉っぱを何枚か入れて飼育していました。今回はオアシスに刺して与えてみたら、葉っぱを食べずに葉っぱの根元の茎ばかりかじってしまう。そのため、カラムシが直ぐに萎れてしまいました。ラミーの元々の性質なのか?

5/21

 ラミーはダンボール飼育ケースの天井に張り付くのが好きなようです。もしくは、光が差し込んでくるからでしょうか?

5/25

 ラミーのために、家の周辺でカラムシを探してみましたがありませんでした。カラムシはどこにでもあるものではないことが改めて解りました。ヤブマオも探せるようになった方がいいようです。

5/26

 今日はカラムシの他にヤブマオも採ってきました。ヤブマオは園芸用オアシスに刺して、カラムシはオアシスに刺すスペースがなかったので(ススキやらエノキが刺してあるので)そのまま飼育ケースに入れました。ラミーカミキリは元気そうです。

5/27

 カラムシかヤブマオのどちらをラミーが食べているか調べてみると、萎れていてもカラムシの葉の根元の茎をかじっていました。ヤブマオは全く食べていないようです。

6/1

 ラミーはカラムシに置いても、すぐに飼育ケースの天井に張り付いてしまいます。エサはいつ食べているのだろうと不思議に思います。

6/16

 カラムシは2~3日周期で採ってきています。会社帰りに群生地があります。エサだけしっかりと与えていれば、最近の暑さでも死んでしまうことはありませんでした。でも、30℃を超えるような猛暑の日は危険だと考えています。

 今日は床のカラムシの近くにいました。ラミーは元気です。

6/20

 今日はエサを与える時には天井に張り付いていました。まだまだ元気。これからは暑さに気を付けようと思います。

6/27

 ダンボール飼育ケースの中を大掃除したら、ラミーカミキリに逃げられてしまいました。家の中のどこかにいると思いますが、見つけることができません。もしかしたら、ゴミと一緒に捨ててしまったかも?

6/28

 ラミーカミキリが見つかりました。窓の網戸につかまっていました。よかった。元気も十分。ただ、ダンボール飼育ケースはタマムシを飼い始めたので、飼育ケース小にお引越し。ゴマダラカミキリ、コガネムシと一緒に飼うことに。

6/30

 ラミーカミキリ元気そうです。スイカはゴマダラカミキリのために入れてありますが、ラミーカミキリは飲んでなさそう。

2020/6/30ラミーカミキリの様子
2020/6/30ラミーカミキリの様子

7/4

 ラミーカミキリとゴマダラカミキリは一緒に飼っても大丈夫そうです。ケンカもしていないようです。

2020/7/4ラミーカミキリとゴマダラカミキリ
2020/7/4ラミーカミキリとゴマダラカミキリ

7/24

 ラミーカミキリは、カラムシさえ確保出来れば安定して飼育できるので、どうしても飼育記録を付ける日にちが空いてしまいます。5/14から2カ月半程度飼育しています。今日、一緒に飼っていたゴマダラカミキリが死んでしまいました。ケンカもせず仲良くやっていました。今日からはラミーカミキリのみで飼育します。

7/25

 今日、ラミーカミキリが死んでしまいました。飼育が簡単なので手を抜いていた感があります。最近は飼育ケースに1枚カラムシの葉を入れているだけでした。暑くなったので、夜までにカラムシもカラカラになりました。今まではスイカを入れていたので、その水分でなんとかなっていたのかもしれません。

 

今回の飼育で解ったこと、問題点など

 やはりラミーカミキリは飼育が簡単な昆虫です。今回の死亡の原因は、飼育ケース内にカラムシの葉を1枚のみ入れていたのでカサカサになっていました。気温が低い時期であればそれでも何とかなったと思います。ラミーカミキリが死亡する1日前までは、一緒に飼っていたゴマダラカミキリのためにスイカを入れていました。その水分で何とか生きていた状態だったのかもしれません。やはり、カップに水を入れてそこにカラムシの枝を刺して与えるのがいいようです。飼育が簡単なので手を抜いてしまいました。