ルリタテハの飼い方

ルリタテハ(夏型)の表
ルリタテハ(夏型)の表
ルリタテハ(夏型)裏
ルリタテハ(夏型)裏

ルリタテハ(瑠璃立羽)

特徴 前翅長25~45㎜程度。黒褐色の翅に美しい瑠璃色の帯の入ったタテハ。裏面は茶色、焦げ茶色などの色で落ち葉や樹皮に見えます。雌雄差異、夏型と秋型の違いは、翅などに現れますが、一見では難しいです。

夏型・・・翅の瑠璃色の帯模様が鮮やかで幅が狭い。裏面が茶色、焦げ茶などの茶色系。また、瑠璃色の帯の中の黒点が中央にあるかどうかでも見分けられるようです。

 秋型・・・夏型に比べ帯の色が水色に近くなる。裏面が夏型に比べて黒っぽくなる。帯の中の黒点がやや外側に近いところにあるそうです。

生態 早いものだと3月の初旬に飛び始め10月頃まで見られます。温暖な場所では、年2~3回発生するそうです。森林の木陰でよく見かけ、クワガタと同じ場所で樹液を吸う姿も見かけます。オスは縄張りを張る性質を持つそうで、翅を広げて止まることがあります。越冬は成虫でします。成虫は、樹液や果物の汁を吸ます。幼虫のエサは、サルトリイバラ、ホトトギスなどのユリ科の植物です。

捕獲 モンシロチョウなどに比べると体が太く、飛ぶスピードも速く、旋回性能も非常に高いので空中で捕まえるのはかなり困難です。また、木陰を飛び回ると翅の色合いが暗いため保護色になって見失ってしまいます。樹液を吸っている時など止まっている時が捕獲のチャンスです。また、占有行動(縄張り)をするので、逃げても同じ場所に何度も戻ってくることもあります。

成虫の飼育 成虫の飼育はエサを飲ませられるかにかかっています。自分からエサを飲んでくれる個体もいます。毎日エサを飲んでくれれば長く飼育出来ます。

幼虫の飼育 サルトリイバラは、新鮮な状態を長く維持することが出来ます。幼虫の飼育自体は難しくはありません。

産卵 幼虫の食草であるサルトリイバラ、ホトトギスなどを入手出来るかにかかっています。長く飼育していれば自然と産卵してくれます。

ルリタテハ2
ルリタテハ2

飼育環境

 飼育ケースは、なるべく大きなものにしてあげてください。どんな昆虫でも同じですが、昆虫にかかるストレスを少しでも軽減するためです。また、チョウは羽ばたいて暴れた場合、飼育ケースが小さいほどケースの壁に衝突してダメージを受けます。それがそのままチョウの命を削っていきます。私の場合、270✖150✖高さ190㎜のケースで飼っていました。飼育ケースの中には、木の葉や草、木などを入れてあげましょう。チョウの止まる所や休む空間になります。ルリタテハを捕ったときの回りの風景を思い出してください。それとなるべく似た空間を作ってあげましょう。私の場合、木の葉と朽木を敷き詰めました。

ルリタテハの飼育ケース
ルリタテハの飼育ケース

 写真のカップに刺しているのはタカサゴユリ(野山に自生しているものを採って来ました)です。産卵させるために刺してありますが、これではダメでした。どうも、ユリ科なら何でもいいという訳ではないようです。2021年はダンボール飼育ケース(縦56㎝横46㎝高さ100㎝)で飼育し、サルトリイバラも入手できたので産卵もしてくれました。

幼虫の食草サルトリイバラ

 ルリタテハの幼虫の食草は、サルトリイバラ、ホトトギスなどです。私が初めてサルトリイバラ探した時には見つけられませんでした。ただ、一度特徴を掴むと直ぐ近くにも多く生えていることを知りました。

サルトリイバラ 冬の状態
サルトリイバラ 冬の状態
サルトリイバラ 冬の状態2
サルトリイバラ 冬の状態2

 上の2枚の写真は、サルトリイバラの冬の様子です。冬の山は木の葉は落ち、草は枯れているものが多く、緑色をした植物が少なくなります。その中でサルトリイバラは葉こそ枯れていますが緑色のツタは目立ちます。木に絡まったツタを頼りに探すと見つけ易いです。

サルトリイバラ
サルトリイバラ

 サルトリイバラは上の写真のようなツル状の植物で、他の植物に絡みつき成長します。

サルトリイバラ
サルトリイバラ
サルトリイバラの特徴1
サルトリイバラの特徴1

 サルトリイバラの特徴の一つが、上の2枚の写真のカギ爪状に伸びたヒゲです。このヒゲが絡みついてくるため厄介な植物です。サルも絡まってしまうことからその名がついたとか。

サルトリイバラのトゲ
サルトリイバラの特徴2 トゲ

 サルトリイバラの特徴の二つ目は、イバラの名の通りにトゲがあります。結構しっかりとしたトゲで痛いです。

サルトリイバラの葉形は丸い
サルトリイバラの葉の形は丸い
サルトリイバラの葉形2
サルトリイバラの葉形2
サルトリイバラの葉形3
サルトリイバラの葉形3

 サルトリイバラの特徴三つ目は、その葉の形状です。まん丸の形をしたものや先が少し尖っているものもありますが、全体として丸く、他の植物でこのような葉の形をしているものは少ないです。

・カギ爪状に伸びたヒゲがある

・イバラの名の通りにトゲを持つ

・葉の形状が丸い

この特徴を持つツル植物がサルトリイバラです。

 サルトリイバラは登山道の脇、山の麓付近、山近くの雑木林など、私の周り(岐阜県岐阜市)では珍しいものではありませんでした。サルトリイバラが生えている場所は、森の中でも光のあまり入ってこない木陰ではなく、森や雑木林などの縁で、ある程度の光が差し込むような環境を好むようです(森の中でも、木がまばらで光がある程度差し込めば生えています)。サルトリイバラを探す時には、森の奥に入るのではなく、森の縁に沿って木陰を探すと見つかり易いと思います。

ルリタテハ3
ルリタテハ3

飼育ケースの置き場所

 飼育ケースは直射日光の当たらない場所に置いて下さい。直射日光が当たると、植物や昆虫ゼリー、飼育ケース内の水分が蒸発し早く乾いてしまいます。また、チョウも明るい方を目指して飛ぼうとするので、壁にぶつかり翅を痛めたり、体力を無くしたりします。私が飼い始めた頃は、1日に長く明るい状態の所に置いておくと、チョウが体力をなくしてしまうと考えて、飼育ケースをダンボール箱ですっぽりと覆いました。夜にエサを与えたりする時だけ、ダンボールを外しました。案外、ダンボールで覆っても中は真っ暗ではないようで、チョウたちは自分でエサを摂取してくれていました。産卵させようと思ってからは、ダンボールで覆わず、昼でも部屋のカーテンは開けずに薄暗い状態で飼っていました。どちらも安定した飼育状態のようでチョウは元気でした。元々日陰で過ごすことの多い蝶なので、今は日陰に飼育ケースを置いています。

ルリタテハのエサ

 ルリタテハは樹液を吸うタイプのチョウです。代用エサは砂糖水です。昆虫ゼリーでもいいのですがエサと認識してくれないことがあるようです。スイカや果物などのエサを一緒に入れておくのも選択肢の一つです。スイカなどの生エサは1日くらいで腐り始めるので毎日交換してください。また、匂いも昆虫ゼリーより出ますので、その辺りは予算と手間との相談になります。昆虫ゼリーも残っていても1週間程度での交換をお勧めします。そうしないとコバエが湧く可能性が高くなります。

 ルリタテハはウスバシロチョウなどのように、大人しい種類のチョウではないようです。テングチョウのような機敏で大人しくしてくれないタイプのチョウです。ウスバシロチョウのような落ち着いたチョウは、砂糖水の所に止まらせてやると大人しく飲んでくれることが多いです。ですが、ルリタテハの場合、エサと認識するまでは捕まえてエサに止まらせてもすぐに羽ばたいてしまい、エサを与えることができないことがほとんどです。しかし、捕まえたその日の夜には、飲むまで3回ぐらいは繰り返して下さい(飲まなかった場合、エサを飼育ケース内に入れて自分で飲んでくれることを祈りましょう)。(エサの飲ませ方は”蝶の飼い方、育て方(成虫編)”を参考にしてください)飲ませられなかった場合、次の日に死んでしまう可能性が高くなります。私が飼育していた時は、ダンボールを被せている状態(真っ暗な状態)でも、薄明るい状態でも自分でエサを摂ってくれていたようです。ルリタテハが羽ばたいてエサを飲まない場合、砂糖水や昆虫ゼリーとスイカ(果物など)を一緒に入れて元気な内は余計な手を掛けないという方法を現在は採っています。ただ、元気が無くなったり、翅がボロボロになってしまったときは話は別です。捕まえて何としてもエサを飲ませて下さい。

ダンボールで飼育ケースを作っては?

 蝶を飼育する時は、気密性の高い飼育ケースを使う必要はありません。クワガタなどのように隙間から逃げてしまうことがないからです。蝶の飼育は翅がボロボロになってしまうことが多いので、大容量の飼育ケースが欲しいと思う人もいると思います。大型の飼育ケースは2000円前後します。自作でダンボールで飼育ケースを作ると安上がりですし、大きさも自由自在です。

ルリタテハの飼育記録

2019/8/12

岐阜県の文殊の森公園で、ルリタテハ(夏型)を2匹捕まえる。27㎝✖15㎝✖高さ19㎝くらいの飼育ケースに、昆虫ゼリーとスイカを入れて飼育開始。エサをあげる時以外はダンボール箱を飼育ケースに被せ、暗い状態で飼うことに。(体力の消耗を減らすことによって生存率を上げるという考えの下)

8/13

夜に様子を見るためにダンボール箱を外すと、バサバサと逃げようとして飛び回る。スイカを替える時には逃げ出してします。元気はいいのだけど、あまり見ない方が翅がボロボロにならなくていいかも?

8/15

様子を見ると、バサバサと逃げ回る。元気は十分。エサ(スイカ)を替えるために飼育ケースを空けると直ぐに逃げてしまい、部屋の中を飛び回る。

8/17

野山で自生するタカサゴユリを摂って来たので、それを水の入ったカップに刺して飼育ケースに入れた。ダンボール箱は被せた。卵を産んでくれるといいけど。

8/18

今日も元気そうだ。でも、卵を産んでいないよう。

8/20

今日も卵を産んでいない。息子がお腹が大きいのでメスといっていたが、2匹の内メスがいるのだろうか?性別の区別が私にはできません。お腹の形とかで区別できないのだろうか?

8/21

文殊の森公園でもう2匹捕まえることができた。現在4匹。息子が暗いから産卵しないのではと言っていたので、今日からはダンボール箱を外して飼育することに。昼間でもカーテンは開けず部屋を薄暗くする。(勉強の時だけは電気をつける)エサはスイカと昆虫ゼリーの両方。

8/22

みんな元気だが、やはり卵を産んでいない。タカサゴユリではダメなのかな?でも、サルトリイバラかホトトギスは文殊の森公園でも見つけられなかった。

/25

今日1匹が死んでしまった。他の子は元気だが1匹の翅がボロボロになってきている。卵は産んでいない。エサは昆虫ゼリーのみで今は飼育している。

8/29

今日、翅がボロボロの子ともう1匹の2匹も死んでしまった。卵は産んでいない。

最後の1匹も翅が傷んできている。

8/30

卵は産ませれないようなので、最後の1匹を逃がすことにした。

 

今回の飼育で解ったこと、反省点

ルリタテハは飼育自体は可能ではあるけど、長く飼うにしたがって翅を傷めてしまいます。真っ暗か薄暗く落ち着いた場所で飼育して、チョウをむやみに羽ばたかせないことが重要なようです。また、エサは昆虫ゼリーよりスイカの方が合っていたのではと思っています。スイカを入れなくなってから死に始めた印象があります。産卵はタカサゴユリではダメなのか、そもそもメス自体4匹の中にいたのか、この飼育環境ではダメなのか、今後の課題になります。

 

2019/9/8

岐阜県の文殊の森公園でルリタテハを1匹捕まえる。23㎝✖40㎝高さ31㎝の飼育ケースに昆虫ゼリーを入れて飼育スタート

9/9

朝見たらルリタテハが死んでいた。

 

今回の飼育で解ったこと、反省点

飼育ケースの広さや環境には問題はないと思います。恐らく、昆虫ゼリーを食べ物として認識できなかったためだと思われます。すると、飼育の開始の時は、昆虫ゼリーの場合、無理やりエサを飲ませる必要が出て来ます。(これがルリタテハの場合、落ち着いて飲んでくれないので難しい)または、スイカや果物だけで飼育する方がいいのかもしれません。今のところは、昆虫ゼリーと果物の両方を入れると安心かな?

 

2020/8/16

 岐阜県の文殊の森公園でルリタテハを2匹捕まえました。翅の形やお腹の先の形から、2匹ともメスと思われます。ダンボール飼育ケースで飼育を開始しました。夜に砂糖水を飲ませようとしましたが、大きい方のルリタテハがどうしても飲んでくれません。小さい方は飲みました。仕方がないので飼育ケース内に砂糖水も入れておきました。

2020/8/16に捕獲したルリタテハ
2020/8/16に捕獲したルリタテハ
2020/8/16に捕獲したルリタテハ
2020/8/16に捕獲したルリタテハ(もう1匹)

8/17

 朝には2匹共生きていましたが、夜には昨日飲まなかった方のルリタテハが死んでいました。やはり、1日目に飲まないとかなり高い確率で死んでしまいます。

8/18

 今日、タカサゴユリを飼育ケースに入れました。去年はタカサゴユリには産卵しませんでした。飼育ケースが広いので、もしかしたら産んでくれないかと期待しています。

8/19

 ルリタテハは元気ですが、産卵はしていません。

8/20

 今日、新しく違う種類(おそらくヤマユリ)を採って来て飼育ケースに入れました。産卵してくれるだろうか?

8/22

 ルリタテハは元気ですが、産卵はしていません。やはり、ホトトギス(植物)、サルトリイバラが必要なのかもしれません。

8/24

 今日、ルリタテハが死んでしまいました。昼間に誰もいなかった時に、クーラーをつけるのを忘れました。おそらく、飼育ケース内は40℃を超えていた可能性があります。

 

今回の飼育で解ったこと、問題点

 野生のタカサゴユリやヤマユリを飼育ケースに入れてみましたが産卵しませんでした。サルトリイバラかホトトギスが必要でしょうか?野生のものは見たことがありません。サルトリイバラは栽培はされていると思います(かしわ餅のようにサルトリイバラの葉で包んだお菓子があります)。買ってまで・・・と迷います。また、真夏の昆虫飼育は、クーラーを24時間つけっぱなしにしなければいけないのかもしれません。

2021/3/29

 近所の古墳で、クロコノマチョウとアゲハ、スジグロシロチョウと共にルリタテハを捕まえました。

ルリタテハ秋型のメス
ルリタテハ秋型のメス
ルリタテハ秋型のメス(裏)
ルリタテハ秋型のメス(裏)

 ルリタテハは成虫で越冬するので、この個体は秋型になります。このページの冒頭部に、翅の形などからルリタテハの雌雄を見分けるサイトを紹介してあります。それによると翅の形ではメスではないかと推測できます。息子もお腹が大きいのできっとメスだろうと言っていました。ダンボール飼育ケースに入れて飼うことにしました。

3/31

 今日は少しだけエサを飲んだが、直ぐに飛び立ってしまった。

4/1

 アカタテハやルリタテハはエサを飲むとき翅をパタパタ(開いたり閉じたり)させながら飲みます。アゲハは翅を開いたまま飲みます。クロコノマチョウは翅を閉じたまま飲みます。蝶の種類によってエサを飲むときに違いがあるようです。

4/14

 近所の山の麓でサルトリイバラを採ってきました。早速飼育ケース内に入れました。

4/16

 サルトリイバラを入れてから2日。まだ産卵しません。メスではないのか?

4/21

 ルリタテハが産卵しました。緑色の透き通った綺麗な卵です。卵には白い線がスイカのように(スイカは黒い線ですが)入っています。写真を撮りましたが、小さいので綺麗に撮れませんでした。ただ、受精しているか心配です。

ルリタテハの卵
ルリタテハの卵

4/30

 昨日から弱っていたルリタテハが死んでしまいました。去年から生きているはずなので卵を産んで力尽きたのかもしれません。

ルリタテハの飼育には、まだまだ解らないことが多く、もし、こんな方法でするといいよとか助言を頂けると有難いと思います。ご助言、感想などありましたら、TOPの”ご意見、ご感想”の所に書き込みをお願いします。